公証人役場で、遺言公正証書を作成する時、最後に、遺言者・証人2名・公証人が署名(名前を書く)押印(印鑑を押す)します。

 このとき、遺言者と証人2名・公証人が署名押印するのは、公証役場に保管する原本のみで、遺言者や遺言執行者が保管する正本や謄本には、署名押印はしません。

 じゃあ、正本や謄本には、遺言者や証人の署名押印した記載がないのかというと、そうではなく、予め遺言者と証人2名の氏名は、タイプ(印刷)されていて、氏名の右側に、押印に変わる”○印”(○のなかに印の文字が入っている)が印刷されています。

 さらに言うと、公証人の氏名や押印も予め印刷されていて、公証人が自筆で署名したり、押印はしません。

 そして最後に、正本であれば、「本正本は遺言者の請求により...原本にもとづき...同人に交付した」とかの記載があり、そこだけに公証人の自筆署名と押印がされます。

 まとめると、遺言者や証人が自筆署名押印するのは、公証役場に保管される原本のみで、公証役場から遺言者に交付される”正本”や”謄本”には、署名も押印もなく、その代わりに、原本には署名押印があるよという記載があるだけ!!で、遺言書の一番最後のところに、この書面は正本だよ!と言う所だけに、公証人の自筆署名押印があります。

 逆に言うと、正本だとか謄本だと言われて見せられた遺言公正証書に、遺言者や証人2名の自筆の署名や、赤い朱肉で印鑑が押印されえている時は、オイオイということになります。

 こんな遺言書を見せられたり、そのコピーを見せられたら、お近くの公証役場や、相続手続きに精通している専門家にご相談されることを、おすすめします。

[遺言相続.jp てるてる行政書士事務所]