お客様から、「遺言書を代書しておいてくれよ、財産は全部女房な!」と、いうようなご依頼があったとします。

 確かに行政書士は、その昔”代書屋”と呼ばれていました。

 代書しろと言われれば、依頼人に成り代わって書類作成をするのは業務ですが、はて、遺言書の代書が出来るのでしょうか?

 続けてお客様が言われたのは、「サインはオレがするから!」です。

 お客様のお話からすれば、公正証書でなく、自筆証書遺言を前提にしてのお話と伺えます。

 既に何度も書いていますが、自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付及び氏名が自筆であることが要件となっていて、これに印を押さなければならないとしています。(民法968条)

 要は、代書は出来ないという事です。

 結局この場合は、私の方で自筆証書遺言の案文を作成し、この文書を参考に、遺言者に自筆してもらったものに印鑑を押してもらい、適切な方法で保管して頂くことになります。

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 行政書士の業務としては、この様に「自筆証書遺言書の原案作成」という事になるのですが、実際のところ、自筆証書遺言の書き方や雛形など、本屋さんに行かなくても、ネット上にわんさかあります。

 この様な場合、私としては、お客様がなぜ、わざわざ私の所に連絡していらしたのか?という所を、一番大切に考えたいと思います。
 
[行政政書士小川恵一事務所]