数年前、私が体調を崩して入院していた、ある病院内での出来事です。

私と同室の高齢者の男性の所に、若い声の女性が毎日、それも長時間に渡ってきていました。

その高齢者のベッドは、カーテンが引かれていて、中の様子は見えないのですが、漏れ聞こえてくる話の様子から、入院患者である高齢者の話を、若い女性が熱心の聞いている様でした。

てっきり家族が来ているんだろうと思っていたのですが、数日後は、その若い声の女性は、看護学生で、その病院に看護研修で配属されてきている事が解りました。

私は、傾聴実習ってやつだろうと思いました。

その後も、毎日、毎日、長時間にわたって、高齢者の話を聞きに来ていました。

高齢者は、楽しそうに色々な話をしています。

人は、自分の話を聞いてくれると、楽しく感じるものです。

近くのベッドで寝ている私の所まで、話が漏れ聞こえてくるお陰で、その高齢者の生い立ちから、家族関係まで、プライバシーの深い部分まで知ってしまいました。

でも、そのうちに何か変?だと思うようになりました。

だって、いくら傾聴の実習だとはいえ、他の看護学生は、看護師さんつれられて忙しそうに動き廻っています。

毎日々、特定の患者さんだけに、長時間寄り添うってのは、それは、ヒマってやつだろうって!

ナンデ、その人だけ傾聴をするのだろう?

他の患者さんが、傾聴を受けている姿はありません。

数日後、私は体調が回復し、無事退院することになったのですが、私が退院する日の朝も、傾聴に来ていました。

事件?は、その時に起きました!!

高齢者が、突然大きな声で言いました...「あんだ、なんでオレん所ばかりだけ、話を聞きに来るんだよ!」..結構強い調子です。

看護学生の人は、「看護実習なんで...」とかと返事をしています。

高齢者:「実習だから、ずっとオレの話を聞いたのか??」(明らかに、興奮しています。)

...看護学生さんは、高齢者の突然の変わりように驚いたのか、返事がありません...シーン。

病室は、シ~ん。

その出来事のあった直後、私は退院してしまいましたので、その後の事が解りません。

その後どうなったのか、興味津々なのですが、知るよしもありません。

−−−−−

さて、「傾聴」、単に他人の話を熱心に聞いているだけで良いのかと思ったら、そんな事は無いですよね。

高齢者にしてみれば、相手が看護学生だと解っていても、「看護実習なんで...」とはもっと違う言葉を期待していた様に思います。

今になると、傾聴する側の心の持ち方、これが看護学生の研修目的だった様な気がします。

[てるてる行政書士事務所]
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