子供のいない夫婦の場合、相続人は妻と、直系尊属(父・母)、直系尊属が死亡していればの兄弟、兄弟が死亡していれば甥姪までですが、遺留分は、直系尊属にはありますが、兄弟にはありません。

この事から、例えば、夫の直系尊属がいなくて、兄弟がいるような場合、妻に全財産を相続させるといった内容の遺言書があれば、夫の全財産を妻が単独で相続することが出来ます。

単独で相続する事が出来る、言葉をかえれば、妻は、兄弟から印鑑を貰うことなく、不動産の名義変更(相続による移転登記)や、郵便局や銀行(金融機関により対応が異なる場合があります)の預貯金の解約を、妻が一人だけで出来るという事です。

更に、遺言公正証書でしたら、被相続人のほか、相続人全員の戸籍や除籍簿謄本を添付して行う、家庭裁判所の検認も不要な訳ですから、極端な話、理屈の上では、死亡してから1週間から10日後位から、不動産の相続登記の申請が出来てしまうわけです。

公正証書で遺言書を作成する場合、一般的な一戸建てと多少の預貯金とを総財産とした場合、私の事務所にご依頼をされた場合、20万円以内程度の費用が掛かりますが、事後にかかる手間や費用、金融機関などでの手続きを考えると、やはり公正証書をおすすめします。

夫からすれば、今は元気なのだから、お金の掛かる遺言書なんてと思われると思いますが、一種の保険に入ったつもりで、遺言公正証書を作成する事を、お勧めします。

考え方にもよりますが、病気になってからでは保険に入りにくいのと似ています。